【第14回STYPは、対面開催を予定しております!】


日時:2024年3月16日(土) 09:30~
ポスター発表会場:早稲田大学戸山キャンパス33号館

招待講演(対面開催):
1. 量子科学技術研究開発機構 森数馬 先生
「生理反応・脳活動・情報解析から探る音楽の快感情」

2. 東京大学先端科学技術研究センター 松尾朗子 先生
「道徳判断と文化,ときどき感情」

スモールトーク(対面開催):
STYP運営陣
「論文投稿ロードマップ ―雑誌の選定からacceptまで―」

ポスター発表(対面開催
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スケジュール:

09:30発表受付開始33号館第一会議室
10:00-12:00ポスター発表①33号館第一会議室
13:15-15:15ポスター発表②33号館第一会議室
15:20-15:30STYP説明33号館331教室
15:30-16:10スモールトーク33号館331教室
16:20-17:20招待講演①33号館331教室
17:30-18:30招待講演②33号館331教室
18:30-18:45優秀発表賞発表33号館331教室
19:30-懇親会今回はSTYP企画での懇親会を開催予定です!ぜひ皆様ご参加ください!

招待講演要旨:

森数馬 先生「生理反応・脳活動・情報解析から探る音楽の快感情」
 音楽を聴取して心地良くなる経験は、多くの人にとって馴染み深いものである。このような経験は当然のように訪れるが、音楽が音の羅列であり生存にとって特に意味を持たないと考えられることからすると、人の精神にとっての興味深い現象であると言えるだろう。近年の報酬の理論において音楽は、食事などの一次報酬や金銭などの二次報酬と異なる内発的報酬の一種として捉えられており、その心理・神経活動へ働きかける性質の特異性が問われている。講演者はこれまで複数の手法を用いて、音楽がもたらす快感情についての検討を行ってきた。そのうち、心拍や呼吸などの自律神経系の生理反応の事象関連変化を検討した生理心理学研究、fMRI脳機能計測中に得られた快感情評価を全脳デコーディングで検討した認知神経科学研究、L2正則化回帰や畳み込みニューラルネットを用いて音響特徴量により快感情のタイプを分類する人工知能を開発した音楽情報処理研究について発表を行う。これらを通して、音楽と感情の研究に固有の難しさと面白さについて紹介するとともに、マイナーな研究分野でどのように研究を進めていくべきか議論できれば幸いである。
松尾朗子 先生「道徳判断と文化,ときどき感情」
 道徳性は,以前は発達的側面から論じられることがほとんどであった。しかしその後,道徳判断には個人の生き方の基礎となる機能だけでなく,その判断基準を他の集団成員と共有することで文化自体の維持に影響するという社会的機能があると指摘され始めた。つまり,道徳判断を伴う状況での判断は文化という要因に影響を受けて規定されているということである。ある文化内で道徳について集団的共有信念が育まれることで,その信念が今度は個々人の判断や行動に影響する。道徳判断の通文化的側面に注目して,Shwederは道徳性における複数の観点の存在を提唱し,Haidtはそれを拡張させ道徳基盤理論として広く普及させた。文化に関わらずすべての観点は存在するが,多くの場合,人間は,自分が所属する文化が持つ性質に見合った観点を重要視しながら生きていると考えられている。本講演では,道徳観の社会性に注目した国際比較研究を紹介する。特に「神聖性・清浄性」についての道徳観のもつ特徴や機能を説明し,日本独特の「清浄観」についての研究的可能性を探る。続いて,道徳関連感情の研究がもつ面白みと難しさを概括する。全体を通して,今までの経験における失敗談を交えつつ,自分の研究の広がりとそれに伴うキャリア形成の一例として少しでも若手のみなさんの参考になれば幸いである。

スモールトーク要旨:

STYP運営陣「論文投稿ロードマップ ―雑誌の選定からacceptまで―」
 近年では学部生や大学院生の頃から査読付き論文を投稿し、業績を作ることが求められている。論文の業績を早めに作ることで、奨学金免除や日本学術振興会特別研究員(いわゆる学振DC)に採用されるための大きな助けとなる。しかし、論文を投稿するための具体的な進め方について教わる機会は非常に限られている。投稿する雑誌を選ぶ際に気をつけるべき点は何か?執筆時に役立つ文献管理ソフトや英文校閲サービスにはどんなものがあるのか?カバーレターの書き方は?論文の査読はどのようなシステムなのか?本発表では、実際に論文を投稿する際の流れに沿って役立つ情報を紹介する。さらに、PDや教員として活躍中の若手研究者数名に対して質問紙調査を行い、論文投稿や査読にまつわるTips・経験談を収集したので、その結果も併せて報告する。